みると通信:知的障害、発達障害、精神障害(疾患)をもった人の働き方 ~一般(企業)就労編~

3 障害を開示して働く場合

多くの支援機関があり、職業相談、職業訓練、職業紹介、職場適応援助などを受けることができます。

※① 公共職業安定所(以下、ハローワーク)

ハローワークでは、本人のために、専門の職員・相談員を配置し、ケースワーク方式により、求職申し込みから就職後のアフターケアーまで一貫した職業紹介、就業指導等を行っています。障害者に限定した求人のほか、一般の求人に応募することが可能です。ハローワークの職員や相談員は、本人にあった求人を開拓し、面接に同行するなどの支援も行っています。

※② 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業センター

ハローワークと協力して、就職に向けての職業評価、職業指導、職場適応援助者(以下、ジョブコーチ)による就職前及び就職後の職場適応のための援助まで、本人の状況に応じた継続的なサービスを提供しています。各都道府県に地域障害者職業センターが設置されており北九州市内にも支所があります。

福岡障害者職業センター  北九州支所

http://www.jeed.or.jp/location/chiiki/fukuoka/index.html

(1)就職支援・相談窓口

地域障害者職業センターによる就職に向けての相談支援等の情報を掲載しています。

(2)精神障害者総合雇用支援

精神障害のある方に向けた専門的支援を実施しています。

(3)ジョブコーチによる支援

事業所にジョブコーチを派遣し障害者および事業主に対して専門的な援助をおこなっています。

(4)職業準備支援のご案内

仕事選びや継続就労を実現するための就労支援カリキュラムを実施しています。

※③ ジョブコーチとは

ジョブコーチとは、職場にジョブコーチが出向いて、本人の障害特性を踏まえた直接的で専門的な支援を行い、障害者の職場適応、定着を図ることを目的としています。

ジョブコーチの種類として以下の3つがあります。

  1. 配置型ジョブコーチ
    地域障害者職業センターに配置するジョブコーチが事業所に出向いて支援を行います。
  2. 訪問型ジョブコーチ
    就労支援をおこなっている社会福祉法人等に所属するジョブコーチが、事業所に出向いて支援をおこないます。
  3. 企業在籍型ジョブコーチ
    障害者を雇用する企業の従業員がジョブコーチ養成研修を受けて、自社で雇用する障害者の支援を行います。

 

ジョブコーチによる支援のご案内(福岡障害者職業センター)

http://www.jeed.or.jp/location/chiiki/fukuoka/om5ru80000008xod-att/q2k4vk0000000lct.pdf

(4)トライアル雇用について

① 障害者トライアルコース

ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障害者を一定期間雇用することにより、その適正や業務遂行可能性を見極め、求職者及び求人者の相互理解を促進すること等を通じて、障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としています。

トライアル雇用の期間に、自分に合った仕事内容なのか、人間関係はうまくできそうか、自分の生活のリズムは保てるのかなど、実際の職場で体験して判断できますので、本人の不安やプレッシャーの解消につながります。

障害者トライアル雇用のご案内(ハローワーク)

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000103780.pdf

② 障害者短時間トライアルコース

継続雇用する労働者として雇用することを目的に、障害者を一定の期間を定めて試行的に雇用するものであって、雇入れ時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、障害者の職場適応状況や体調等に応じて、同期間中にこれを20時間以上とすることを目指すものをいいます。

4 最後に

ソーシャルインクルージョンという言葉を聞いたことがあるでしょうか。ソーシャルインクルージョンは、「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」という考え方です。ヨーロッパでは、社会福祉の再編にあたって、社会的排除(失業、技術および所得の低さ、粗末な住宅、犯罪率の高さ、健康状態の悪さおよび家庭崩壊などの、互いに関連する複数の問題を抱えた個人、あるいは地域)に対処する戦略として、その中心的政策課題のひとつとされています。

その影響もあって2000年12月に厚生省(当時)でまとめられた「社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方に関する検討会報告書」には、社会的に弱い立場にある人々を社会の一員として包み支え合う、ソーシャルインクルージョンの理念を進めることを提言しています。

障害を持った人々が、「働く」ことはなぜ大切なのでしょうか。一般企業の中で健常者とともに働くことは、健常者の偏見や無関心から障害者への理解につながり、その意義は大きいと言えます。もちろん、本人にとって社会の中で働くことは、結婚をして家庭を持つこととおなじく、「生きがい」だからこそ大切なのです。障害があったり、病気になったからといって、社会生活をあきらめるのはつらいことです。公的サービスと両親のサポートだけで生活していけたとしても、そこに人生の豊かさを見出すのは難しいことです。

障害者雇用促進法では、企業に対して、雇用する労働者の2.2%に相当する障害者を雇用することを義務付けています(障害者雇用率制度)が、民間企業の約半数が雇用率未達成の状況です。日本の企業の姿勢が問われているといえます。一方、国や地方公共団体では2.4%の雇用義務がありますが、障害者数の不適切な算入が行われてほとんどで雇用率が水増しされていたことは明らかになっています。特に、国は、自分たちがつくった制度を守らないという、あまりにもずさんな現実が浮き彫りとなっています。

参考にしたサイト