成年後見人の報酬にまつわるお話し 第1回 ~後見人の報酬は、いつ、誰が決めるのか~

成年後見制度の利用を考えているご本人や親族の方によく聞かれることがあります。

それは
「専門職の方が後見人になった場合、報酬はどれくらい必要になりますか?それはいつ支払うことになるのですか?」
といったような内容の質問です。

どうやら、後見人の報酬金額を後見人自身が決定すると思われていることが多いようで
「報酬を支払っていけるのだろうか?」
といった心配を抱かれる方が少なくありません。

ですが、そのような心配は不要です!

後見人の報酬金額は、後見人自身が任意に決めることはできず、それは家庭裁判所が決定します。

この報酬額を決定する手続きのことを「報酬付与の申立て」と呼び、家庭裁判所はこの申立てがあった場合には報酬金額を算定し、「審判」と呼ばれる形で決定を出すことになります。

「報酬付与の申立て」は、家庭裁判所に審理してもらうための所定の書類を用意し、後見人が自ら提出して行うのですが、この申立てを行う時期としては、通常、家庭裁判所への「定期報告」といわれる仕事を行うときに併せて「報酬付与の申立て」も行うのが実務上の慣習となっています。

 ここで、「定期報告」という言葉が出てきましたので、ついでに少し「定期報告」とはどのような仕事なのかをお話ししましょう。

 「定期報告」とは、毎年、家庭裁判所から義務付けられた一定の時期(小倉の家庭裁判所では、被後見人の誕生日の月と定められています)に後見人がそれまでの1年間に行ってきた財産管理などの仕事の内容を書面化し、家庭裁判所に対して提出しなければならない仕事のことをいいます。

 後見人としては、自分の行った仕事について報酬を算定してもらうには、この「定期報告」の機会に行うのが一番都合がよいため、大抵の専門職の後見人は「定期報告」を行うと同時に「報酬付与の申立て」を行っているという訳です。

 なお、「報酬付与の申立て」を行う時期については特段の決まりがあるわけではありませんので、例えば、“被後見人が所有する不動産の売却を行った”など大きな仕事を終えたあとに報酬を決定してもらう、といったことも可能です。

いつ申立てを行うのかは後見人の意思に任せられているのです。