「相談支援事業所と相談支援専門員の役割について」(第2回)

相談支援を提供している事業所の種類

次に、相談支援を提供している事業所の種類についてですが、
障害者に対応する事業所は大きく分けて「指定特定相談支援事業所」「指定一般相談支援事業所」「障害児相談支援事業所」の3つがあります。
それぞれ提供する相談支援の種類が異なります。

1.指定特定相談支援事業所とは

市町村が指定する相談支援事業所です。
さまざまな相談に応じる「基本相談支援」に加えて、サービス利用を希望する方に向けた「サービス利用支援」「継続サービス利用支援」をおこないます。
数ある障害福祉サービスをうまく利用するには、一人ひとりの状況や抱えている悩み・困り事に合わせた支援プランの作成が必要です。
特定相談支援事業所が担う役割は、必要な福祉サービスを案内すること(サービス利用支援)、利用しているサービスが適切か見直すこと(継続サービス利用支援)を通して、障害福祉サービスに関わる総合的な支援をおこなうことです。

2.指定一般相談支援事業者とは

都道府県が指定する相談支援事業所です。
さまざまな相談に応じる「基本相談支援」に加えて、「地域移行支援」「地域定着支援」をおこないます。
障害を持つ方が、これまで生活してきた施設や病院を出て地域生活を送るには、さまざまな支援が必要になります。一般相談支援事業所が担う役割は、地域に出てくるまでの支援(地域移行支援)、地域で暮らし続けるための支援(地域定着支援)を通して、地域生活に関する総合的な支援を行うことです。

3. 障害児相談支援事業所とは

児童福祉法に基づく障害児通所支援のサービス(児童発達支援等)を利用する場合に必要な、「障害児支援利用計画」の作成、サービスを提供する事業者との連絡調整、サービスの利用状況の検証(モニタリング)などを行う場所です。
障害児の入所サービスについては、児童相談所が専門的な判断を行うため、障害児相談支援の対象とはなりません。

・「相談支援専門員」とは

次に「相談支援専門員」についてですが、上記内容で説明を行った事業所に勤務しています。
業務内容としては、障害のある人が自立した日常生活、社会生活を営むことができるよう、障害のある人の福祉に関する様々な問題について、障害のある人等からの相談に応じ、必要な情報の提供、障害福祉サービスなどの利用計画の作成や地域生活への移行・定着に向けた支援、住宅入居等支援事業や成年後見制度利用支援事業に関する支援など障害のある人の全般的な相談支援を行います。
利用の計画については、6ヵ月に一度モニタリングを行い、利用者の状態に適した支援が行われているか確認する必要があります。
ただし、利用者によって手厚い支援が必要な状態であれば、行政機関の許可を得て、モニタリングの頻度を短くすることも可能です。
相談支援専門員は、実務経験と相談支援従事者初任者研修修了の要件をいずれも満たしています。
さらに、5年に1度の相談支援従事者現任研修を受講し、質の担保を図っています。
また、上記内容を踏まえると介護保険のケアマネージャー(介護支援専門員)と似ていると感じる方もいると思いますが、違いもあります。
介護保険では、原則、要支援1~2の方は地域包括支援センターがケアマネージャーを担い、要介護1以上を地域の居宅介護事業所のケアマネージャーが担います。
しかし、障害者総合支援法では、困難事例など地域の事業所だけでは対応が困難な案件については、基幹相談支援センターが関わることはありますが、
基本的に区分によって相談支援専門員が移行することはありません。
他にも1人当たりの担当件数の上限やモニタリングの期間にも違いがあります。
近年は、一人あたりの担当数やモニタリングの頻度等の報酬体系などの採算が合わず、撤退する事業者などもありますが、「障害福祉サービス等の提供に係る意思決定支援ガイドライン」のなかでも、意思決定支援責任者としての役割も求められている中、今後、地域で障害を持った方が安心して生活できるためにも、報酬体系の改善が望まれるところです。