みると通信:発達障害について知ろう 3

今回は、発達障害のうち「アスペルガー症候群」の3つの特性について解説します。

第一の特徴は、「社会性の障害」といわれています。平たくいえば、人とうまく関わることが苦手だということです。自分の世界に閉じこもってしまって人とかかわりを持たないタイプ(孤立型)。毎日同じような服を着て、決まったスケジュールどおりの生活をすることを好みます。人からの指示には従うが自分の意思を表すことが難しいタイプ(受け身型)。いろんな誘いや依頼を断れずに、疲れはてたりパニックになってしまいます。この二つのタイプとは逆に、積極的に人とかかわるのですが、一方的であったり強引に見えたり他者への配慮ができないタイプ(積極型・奇異型)などがあります。自分のことを棚に上げて、他者のミスや誤りは遠慮なく指摘します。職場では上司、家庭では子ども、学校では教師などが対象になります。いずれのタイプも、対人関係を形成していくことに困難さがあり、成人の中では、対人交渉が必要な仕事は苦手だという人が多くいます。

第二の特徴は、「コミュニケーションの障害」といわれています。幼児期に言葉のおくれがみられず発語は比較的スムーズといわれています。しかし、意思をやり取りするといった広い意味でのコミュニケーションには、困難さを抱えています。言葉や身振りなどにこめられた意味、暗黙の了解といったもの(非言語コミュニケーション)を理解することが容易ではありません。指をさして「それをとって」とお願いしても、「それと言われてもわかりません」ときっぱり断られます。また、冗談や嫌味が分からず、言葉の意味を文字どおり受け取ったり、曖昧な表現の理解が難しい場合もあります。彼らに「空気が読めない人ね。」というと、「空気は読むものではなく、吸うものでしょ?」と真顔で切り替えされてしまいます。更に、言葉を表面的に解釈するため、トラブルにまきこまれることがあります。相手の下心や悪意に気がつかずに「買うと運気が上がる」などといわれて、素直に信じて価値のないものを買わされてしまいます。

第三の特徴としては、想像力の障害や興味の持ち方の違いや「こだわり」の強さなどがあげられます。彼らは真の意味での想像力を発達させることが困難です。幼児期ではごっこ遊びや創造意的な遊びが乏しいという特徴もあります。また成人しても、悪意を持つ事はありませんが、「こんなこといったら傷つくだろう」という配慮ができずストレートなもの言いをして相手を傷つけてしまう事があります。たとえば、ある女性は面識のない男性に「髪の毛が無いね」といってにらまれたり、相撲好きのある男性は、同級生の女の子に「力士みたいね」といって嫌われてしまったりします。

また興味関心が極端に限定されていたり、同じことを繰り返したりする「こだわり」の強さが見受けられます。自分の決めたルールには厳格に従ったりするなど、いわゆる融通性にかける言動や行動が見られることも少なくありません。変化への対応も難しく、急な変化でパニックに陥ることもあります。たとえば自宅から駅までの道順がいつもと違う事を嫌う、家具の配置が変わるとすぐに元どおりにしようとする、毎日の生活パターンが決まっていて時間に非常に厳格といった事もあります。一方で、自分の興味があるごく限られた物事に熱中し、それに関連する情報を集めたり研究することに、多大な労力と時間を費やすことをいとわないため、様々な分野で偉大な功績を残した多く人もいます。

 

 


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