医療保護入院について(第3回) 入院中の処遇について

第3回 入院中の処遇について

入院患者の処遇は、患者の個人としての尊厳を尊重し、その人権に配慮しつつ、適切な精神医療の確保及び社会復帰の促進に資するものでなければならないとものとする。

また、処遇に当たって、患者の自由の制限が必要とされる場合においても、その旨を患者にできる限り説明して制限を行うよう努めるとともに、その制限は患者の症状に応じて最も制限の少ない方法により行われなければならないものとする。 と定められています。

入院中に制限することができない事項について

  1. 信書の発受の制限(異物が同封されていると判断される受信信書については、患者に開封してもらい、異物を取り出した上患者に当該受信信書を渡す。)
  2. 都道府県及び地方法務局その他の人権擁護に関する行政機関の職員並びに患者の代理人である弁護士との電話の制限
  3. 都道府県及び地方法務局その他の人権擁護に関する行政機関の職員並びに患者の代理人である弁護士及び患者又は保護者の依頼により患者の代理人となろうとする弁護士との面会の制限

また、上記に以外の院外にいるものとの通信・面会、信書のやり取りについても、治療のために必要な場合にしか制限できないことになっています。

退院請求、処遇改善について

入院中に本人が「退院したい」「入院させられているのは不当だ」「必要以上に行動を制限されている」などと感じたら、都道府県の知事や市長宛に書面を送ったり、精神医療審査会の窓口である精神保健福祉センタ―や弁護士会などに連絡をして、退院請求や待遇改善の請求をすることができます。閉鎖病棟の中であっても、公衆電話が設置してあり、電話番号の掲示も法律によって定められているため連絡できるようになっています。退院請求や処遇改善要求が行われると、各都道府県や政令指定都市に設置されている「精神医療審査会」の委員が本人や担当医に面会します。そして、入院の必要性や処遇について審査をし、人権と健康の双方から、適正な医療が行われているかどうかの行政判断が行われ、結果が通知されます。

 

以上、3回に渡って、医療保護入院について説明させて頂きましたが、今回紹介しきれなかった内容もあります。

患者本人の意に反して入院治療を行うということは、ともすれば人権の問題にも関わるため、法令を遵守し対応しなければなりません。

精神保健福祉法では、精神障害者を入院させる場合において、本人の同意に基づいて入院(任意入院)が行われるよう努めなければならないとの定められており、患者さん自身が納得して入院治療を受けることが最優先です。

ただ、入院治療の必要性があるにも関わらず、同意が得られないこともあります。病状によって行動を制限することもあるため、慎重に判断する必要はありますが、医療保護入院はあくまでも、病状の進行を防いだり、病気を改善し、安定して地域で生活することを目標にしています。

今回説明した内容以外でも、気になることや不明な点もあるかと思いますので、その際は、居住地の行政機関の相談窓口や病院の主治医、精神保健福祉士等に相談し、専門家からの助言等をもらうことも可能ですので、検討して頂ければと思います。

参考資料

  • 精神科医療関連制度 精神科医療総合サイト「e-らぽーる」
  • 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 厚生労働省
  • 改正精神保健福祉法施行(平成 26 年 4 月) に関する業務のためのガイドライン 公益社団法人 日本精神科病院協会