みると通信:発達障害について知ろう 1

皆さんは「ファインディング・ドリー」という海の生き物たちの世界を描いたアニメ映画をご覧になった事がありますか?前作「ファインディング・ニモ」は生まれつき片方のヒレが小さいせいで上手く泳げないニモ(カクレクマノミ)が主人公でした。続編の本作は、知能が高くアルファベットが読めたりクジラと話せるなどの能力を持つものの、数秒前のことをすぐに忘れてしまうドリー(ナンヨウハギ)が主人公です。

そんな「ファインディング・ドリー」ですが、前作のニモに続き障害を抱えるキャラクターを通じ”社会とどう向き合うか?社会はどう向き合うか?“をわかりやすく描いた作品で、主人公のドリーには発達障害があるといわれています。本作の監督は「いつも周りに謝ってばかりいたドリーに、自分自身を愛してほしい」そんな想いを込めたといいます。ちなみに、ある男性のファッションモデルは、自身が発達障害であることを明かしていますが、映画に出てくるドリーをみたことがきっかけで、自身の発達障害に気づいたとのことです。

発達障害とは、脳の機能の発達に関する障害です。生まれつき、あるいは乳幼児期に何らかの理由で、脳の発達が損なわれ、成長とともに身につくはずのことばや社会性、感情のコントロールなどが未発達、未成熟、アンバランスになるために起こります。発達障害の子どもの知的発達の程度は様々であり(図1)、知的障害を重複している方がいる一方で、学力には問題がなかったり、特定の分野について他者よりすぐれた面がある方もいます。こうした能力のアンバランスさがゆえ、「マイペース」「わがまま」といった性格的なものと誤解されたり、「親の育て方がわるい」などと誤解されて、つらい思いをしている当事者や親は少なくありません。

これまで発達障害は、子どものものというイメージがあったのですが、近年では大人の発達障害が注目されています。知的障害を重複していないため、大人になって気づかれるようになった方々です。「有名大学を出て就職したが、上司の指示が理解できなかったり、人間関係がうまくいかずに退社。その後も転職を繰り返した。」「結婚して主婦になったが、どうしても片付けができずに常に散らかっていつも探し物をしている。」「発達障害の子どもを受診させたところ、自分にも発達障害の特徴があると指摘された。」などのきっかけで自身に発達障害があることに気づく事があります。子どものころは、知的な能力の高さや、集団行動や生活を回避したり、両親や教師のサポートなどで社会に適応してきた方でも、社会にでて仕事をしたり家庭を持ったりすると、人の指示を受けるだけでなく、自分で判断して行動しなくてはなりません。場の空気を読んで、本音と建て前を使い分けるといった社交辞令は、発達障害の方はとても苦手です。結果的に、もともと持っていた発達障害に由来する困難さが顕在化し、周囲との軋轢が生まれ自信を無くしてきます。いじめや不登校、引きこもり、ニート、などの社会問題の背景に発達障害があると指摘され、早期のケアやサポート体制の確立が求められています。

 


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