みると通信:不動産にまつわる後見人の仕事~第2回「遺産を分けたい!」

第2回 遺産を分けたい!

亡くなったかたの遺産を分けるには、誰がどの財産をもらうのか、相続人全員で話し合いをしなければなりません。この話し合いのことを「遺産分割協議」といいます。
もしも、相続人の中に、A子さんのお母さんのように認知症などで話し合いをすることが困難なかたがいる場合、第1回のケースと同様、本人に代わって話し合いに参加するため後見人を選任し、協議を進めることになります。
A子さんのようなケースでは、遺産分割に関して法律の専門家へ相談した際に、 お母さんに後見人を選任することが必要である、との助言を受け、後見人選任の手続きに至る、といったことが多いようです。

後見人がA子さんのお母さんに代わって遺産分割協議に参加すれば、第1回のケースでも述べましたが、後見人はお母さんにとって有益な結果となるよう努めなければなりません。そのため、原則として、お母さんの遺産に対する法定相続分(法律で定められている遺産をもらえる割合)は最低限確保しなければならず、他の相続人には理解を求めることになるでしょう。

また、遺産の中に、A子さんのお母さんが現在住んでいる、もしくは過去に住んでいたことのある不動産があり、遺産分割協議によって、その不動産をお母さん以外の人がもらう場合には、お母さんにとっては「居住用不動産の処分」という行為に該当するため(詳細は第1回のケースで述べています)、家庭裁判所から許可をもらわなければなりません。